マジックミラーはこうして使う!仕組みと活用法を解説します。
2024/11/06
こんにちは!ドクターKです。みんなからは「博士」って呼ばれています。
コンビニなどで見かけるマジックミラー。なんとなく仕組みを知っている方はいるかもしれません。
けれど、鏡なのかガラスなのか、どう作られているのか、あっと驚く使い方など、素人では知らないことも多いんですよ。
実はマジックミラーは表明に薄く金属が蒸着されているのです。
「えっ、金属が透けるの?!」とお思いの方、鏡とガラスの専門家・ドクターKが、今回はマジックミラーの仕組み、ハーフミラーとの違い、マジックミラーの選び方と使い方を実例を交えて説明します。
アイデア次第でマジックミラーは大化けします。 面白い使い方を知って、イメージを膨らませて、ぜひあなたの現場でもお使いください!
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マジックミラーの仕組み
マジックミラーはなぜ片側からしか見えないのでしょうか?とっても不思議な現象ですね。まずはその基本の仕組みを説明します。検討する際のヒントにしてください。
鏡?ガラス?
マジックミラーの特殊な見え方は、ガラスやアクリル板など透明な板に塗布されている金属の塗膜によるものです。普通の鏡は透明な板の表面にべったりと光が透けないように銀やアルミなど金属が蒸着(簡単に言えばメッキ)されていますが、マジックミラー(ハーフミラー)はそれよりも薄く金属が蒸着されています。金属が透けることはイメージしにくいでしょうけれど、塗布された厚さに比例してちゃんと透けるのです。そして表側と裏側の明るさの違いによって、反射光と透過光のどちらかが強調されることで見え方の違いになるのです。もし表側と裏側が同じ明るさの部屋なら不思議な現象は起こりません。
よく比較されるものとして偏光グラスがありますが、これは特定の波長の光だけを遮るガラスなのでマジックミラーとは別物です
反射率と透過率
マジックミラーもハーフミラーも呼び方が違うだけで原理は同じものです。ただその使用方法によって最も適した光の透過率と反射率が使われます。硝子に塗布する金属膜の厚さによって透過率と反射率を調整することができるのです。
マジック(手品)のように不思議な鏡として使う場合や、鏡の反射像に重点を置いた使い方をするときには「マジックミラー」と呼ばれることが多く、光を半半に分光させるような使い方をする場合や、透過像に重点を置いた光学的な使い方をするときに「ハーフミラー」と呼ばれことが多いようです。マジックミラーとして使う場合は反射率が高く光が透過しにくい物、ハーフミラーとして使う場合は透過率が高く反射しにくい物が適しています。実際に「コーワミラーショップ」では透過率8%反射率50%の物をマジックミラー、透過率30%反射率30%の物をハーフミラーと呼んで販売しています。透過と反射を合わせて100%にならないのは光の波長がガラスや金属膜に吸収されるためです。
こんな風に見えます
マジックミラーのこちら側と向こう側の明るさの違いによって見え方が変わります。
明るい部屋にいる人には鏡として使えます。明るさと反射光の相乗効果で暗い部屋が見えにくくなるためです。逆に暗い部屋にいる人は向こう側の明るい光だけが見えるので鏡にはなりません。
しかし残念ながら、本当の鏡のように明るく自分の顔が映ったり、本当の透明ガラスのように明るく透過することはありません。少し暗く見えることは仕方のないことです。夜電車に乗ると窓が鏡になっていることと同じ原理です。
透過率30%のハーフミラーは8%の物に比べて鏡としての機能が落ちます。その代わり透明ガラスのように明るく向こう側を見ることができます。透過と反射は反比例の関係になりますのでどちらを使うかよく検討する必要があります。
こんな使い方があります
一般的にはコンビニのバックヤードなど防犯に使われることが多いマジックミラーですが、それ以外の特殊な用途でマジックミラーやハーフミラーを使った事例を紹介します。マジックがいいか、ハーフがいいか、ご自分に適したものなのかご検討の参考にしてください。
マジックミラー8%で作れるもの
●子供の自由工作
これは私の娘が夏休みの自由工作に作ったものと同じです。他の子供たちの作品と共に体育館に展示されましたが、残念ながら明るい場所だったので意味のよく解らない作品になってしまいました・・・
透過率8%のマジックミラーのキューブの中に発光体を入れると上下左右永遠に反射が繰り返されて、小さな空間がものすごく広い空間に見えます。周りを暗くできる場所で楽しんでください.
もしこれを透過率が高い(反射率が低い)もので作ると光の減衰が多いため広がりの少ない作品になります。
●特殊な看板
看板屋さんからご相談いただき面白い製品に使われるマジックミラーを販売したことがあります。
LEDで発光する電飾看板とマジックミラーを組み合わせて製作します。鏡だと思って人が近づくと瞬時に鏡じゃなくなり隠されていた広告がどっきり表示されるという物です。人感センサーが仕掛けられていて、内部を光らせ反射像を見えなくする仕組みです。この場合も透過率8%のマジックミラーが適していました。30%のハーフミラーでは環境が暗いときにうまく鏡にならず、うっすら中の仕掛けが見えてしまいます。
ハーフミラー30%で作れるもの
●近未来インテリア
お部屋の中をスッキリさせるためにハーフミラーを使ってテレビを消すことが可能です。普段は鏡のように部屋の中に溶け込み、テレビのスイッチを点けるだけで鏡は無くなり映像が映ります。簡単な工事だけでテレビの存在をお部屋から消すことができます。
この場合、透過率8%のマジックミラーではテレビが暗くなってしまいますので、透過率30%のハーフミラーを使い、しかもテレビを最大限明るく設定する必要があります。
●プロンプター
プロンプターをご存知でしょうか?スピーチや演説の際にカンニングするための機械です。
原稿をパソコンで反転表示させガラス部分に表示させます。聴衆からは透明な板にしか見えませんが、演者には文字が表示されて読むことができます。またユーチューバ―や映像制作の現場ではカメラレンズの前にピッタリ取付ける装置も可能です。カメラ目線で暗記してしゃべっているようにみせて、実はプロンプター越しに完璧にカンニングできます。
この場合は8%のマジックミラーでは存在感がありすぎるので、30%のハーフミラーが使われます。
使うときはここに注意!
便利で不思議なマジックミラーですが、普通のガラス板や板鏡とは違った特徴があります。欠点といっていいかもしれません。使用する際の注意点をお伝えします。
傷がつきやすい
普通のミラーには金属膜を保護するために塗料がべったり塗られています。しかしマジックミラーは光を透過させるために塗料で保護することができません。よって片面は金属膜が露出しており、どうしても傷には弱い欠点があります。そのことから、例えば面取り加工や穴あけ加工、フィルム貼りなどの加工時にも傷ついてしまい、お客様に販売できないことがよくあります。そのこともお値段が高くなる要因となっています。
取り付けの際の注意点として、金属蒸着面を汚れにくい側に向けて設置し、ふき掃除の回数を減らすことが長持ちの秘訣かと思います。
また、ガラス製のマジックミラー以外にアクリル樹脂を基板に使ったマジックミラーもあります。ガラスより軽量で割れにくい長所はありますが、アクリル板はガラスよりも柔らかく反りがあるため鏡としての使用に難点があります。また傷に弱く帯電性が高いことで、ホコリなどの汚れが付きやすいことに加えてお掃除のたびに小傷が増えていくという欠点があります。小さな用途にはアクリル製でもいいかもしれませんが、大きな面積には反りが大きいので不向きです。
裏表がある
少し見ただけではわかりにくいのですが、マジックミラー(ハーフミラー)には表裏があります。片面は金属蒸着面でもう片面は蒸着されていないガラスのままの面です。どちらを表と呼ぶかは決まっていません。
蒸着面は傷はつきやすいですが反射率が高くなり鏡面に向いています。逆に非蒸着面は傷には強いですが、反射率が低くなり鏡として使用すると暗く映ります。
明るいと丸見えに
お部屋の窓に使いたい方が、都合よく誤解されている場合があります。昼間はたしかに室内の方が暗いので外からのぞけませんが、夜になると逆に室内が明るいので外から丸見えです。しかも夜は鏡になっているので外の様子が見えません。現代科学では昼も夜も部屋から外が見えて、外から部屋をのぞかれない魔法のガラスは発明されていません。
ネットで簡単、スピーディに買えちゃいます!
普通の鏡より高額で特殊な用途に使われるので、なかなか普通のガラス屋さんが在庫していることは少ないと思います。ネットやスマホで買えるサイトをご紹介します。
説明が丁寧!コーワミラーショップ
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ライター
博士
鏡とガラスの専門家・ドクターKです。「博士」と呼ばれています。皆さんがよく巻き込まれるトラブルの原因やメカニズムを動画やコラムでわかりやすく解説します。