これはカビ?汚れ? 鏡にできる黒いシミの真実を解説します。
2024/11/13
こんにちは!ドクターKです。
うわぁ!鏡に黒いシミが出てきたー---! と慌てたことはありませんか?
実はそれ、カビではなく〝錆び〟なんです。錆びともなれば、掃除して取れるものではありません。
ではどうしたらいいのでしょう? 残念ながら、できてしまった錆びは取れません。
今回は、鏡とガラスの専門家・ドクターKが、錆びができるメカニズムや、錆びないように、「しけ」ないように予防する方法をわかりやすく解説します。
鏡の裏側に湿気がたまると、それが錆びの原因になります。 錆びを防ぐには、隙間のない完璧なコーキングが必須です。
予防法も一緒に説明しますので、ぜひ参考にしてください。 鏡は、消耗品です。長持ちさせるかどうかは、使用環境次第でかわってきます。 今からではできないこともありますが、日々の予防で、鏡を大切に長く使ってくださいね♪
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鏡に浮かぶ、黒いシミの正体は?
この黒いシミみたいな汚れは一体何物なのでしょうか?そして発生したらどうすればいいのでしょうか?
科学的っていうほど難しくはありませんが、少し詳しく説明します。
カビではなくサビ
一般の方はご存じないと思いますが、この黒いシミのことを鏡業界では「シケ」と呼んでいます。よく見ていただくとわかりますが、ガラスの表面ではなく、奥の方が黒くなっていて触ることはできません。これはカビのように見えますがカビではなく錆び(サビ)です。
鏡はガラスの裏面に銀やアルミなど金属を蒸着(メッキ)することで光が反射して像を見ることができます。しかし、その金属メッキが腐食し、錆びたり剥がれかけたりすることで、光が綺麗に反射できなくなってしまいます。
これが黒いカビのようなもの、「シケ」の正体なのです。
錆(サビ)が発生するメカニズム
鏡は銀膜による、光の反射によって成り立っています。より綺麗に光を反射させるために、平らな板ガラスの裏面に銀メッキをしています。
そして、より長持ちさせるためにその上に銅をメッキし、仕上げに塗料を塗布して保護しています。
以下の図をご確認ください。裏面について銀と銅は保護塗料で覆われていますが切断面は金属が露出しているのがわかります。
浴室など水気がある場所で、このように露出したままの鏡を使用すると切断面から錆が発生する確率が高まります。
また、切断面だけではなく、裏面の両面テープ取付部分から錆が発生することもあります。これも浴室内で起こることが多いのですが、取付に使用した厚手の両面テープに水分や薬剤が吸収され、長期間接触することで保護塗料が劣化した結果、金属膜が腐食するために起こります。
湿気を寄せるな!鏡の防錆加工とは
治療法のない病気にかかるのと同じで、鏡が錆びてしまったらもう元に戻す方法はありません。
錆びないように、「しけ」ないように予防する以外にないのです。
では、どうすれば予防できるのでしょうか?ご説明します。
防錆加工の仕組み
①エッジ部分の予防法
鏡をご希望のサイズに切断するとその切断面は金属が露出してしまいます。そこで切断後は露出を防ぐために塗料で修復します。普通のペンキでは長持ちしませんので、硬度の高いエポキシ樹脂塗料(エトン)がよく使用されています。
②裏全面の二重塗りによる予防法
鏡の裏側には防錆塗料が全面に塗ってありますが、もちろん寿命があります。特に使用する環境によっては1~2年で腐食が始まることもあります。
そこで、通常の防錆だけではなく、もう1枚上塗りを重ねて、もっと強力に防錆(防湿)することも可能です。塗料は固まると強度の増すエポキシ樹脂塗料などを使います。
ただし、裏側ばっかり頑丈にして長持ちさせても、表面が取れない水垢で真っ白になっては意味がないので、表面も長持ちさせる防曇フィルムとの併用をすることをお勧めします。
なお、株式会社コーワでは「スーパー浴室ミラー」という商品で販売しております。ご自宅の浴室はもちろんのこと、銭湯・温泉施設・ホテルの大浴場などの常に高温多湿な環境でも長期間ご使用いただけます。
また、実際に、家庭用洗剤(薬品)による浸食にどれだけ耐えることができるか、比較実験を行いました。実験結果を動画で紹介していますので、ご覧ください。
③取付の際の予防法
ご自分で浴室の壁面ミラーを交換される場合にできるシケ予防法があります。工事業者様もご注意いただきたいことです。シケ(サビ)を予防するためには何はともあれ薬品や湿気に接触を少なくすること、特に長期間、浸さないように工夫することが大事です。
錆びを発生させる原因の一つに隙間が空いたコーキングがあります。
キッチリと隙間なく完全なコーキングが打てれば最強な防湿になりますが、微妙に隙間が残ったいい加減なコーキングを打つと、毛細管現象で水を引っ張り裏側に水が入り、しかも逃げる場所がなく、長期間水たまりができます。
完璧なコーキングができないなら何もしないほうが風通しよく乾燥するのでまだましです。
もし鏡の周りをコーキングするなら絶対に隙間ができないように気を付けてください。
また、お掃除などの際にも、コーキングを押し剥がれたりしないように注意して使用しましょう。
また、ミラー用両面テープはスポンジのように水気を吸って長時間背面を侵します。鏡の裏面にカッティングシートなどを貼って塗料を保護するのもいいかもしれません。
もう一つ大事なことは裏面の塗装を傷つけないように注意することです。塗装が傷つくと錆の発生が早まります。もし傷があれば市販の防錆塗料やカッティングシートなどで取付前に修繕しておきましょう。
④日常の予防法
鏡は消耗品です。すぐダメになるか長持ちさせるかは使用環境次第です。特に、湿気と洗剤や薬品によって防錆加工が劣化します。予防としてまず出来ることは、とにかく換気です。
また、強酸、強アルカリ、有機系溶剤に浸さないように注意し、もしこれらの薬品に触れた場合は水洗いの上、水分も残さないよう拭取りましょう。鏡の表面に付着する「うろこ汚れ」も水気を拭き取り、換気をこまめに行うことで防ぐことができます。
鏡の交換は自分でできる
黒い汚れ「シケ」の原因について説明しましたが、残念ながら一度腐食したものは修繕することはできません。
気持ちを切り替えてご自分で鏡の交換にチャレンジしましょう。綺麗な鏡はきっと世界が変わって見えますよ。
自分で鏡を交換する方法
こちらの記事で、鏡の取替方法について解説しています。
難しく思える鏡交換も、実は簡単に出来ちゃうんです。知ってましたか?
業者を介さずDIYすることで費用の節約になります。是非ご自分で鏡を交換してみてください!
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残念ながら、画像と文章だけではすべてをお伝えできません。それに、交換作業には予想外のトラブルがあるかもしれません。
ご不明な点があればこちらからお問い合わせください。私たちが力になれるかもしれません。
まとめ
・鏡が黒くなってきた汚れはカビではなく「サビ」
・防湿加工の基本は金属を保護する塗装を強化すること
・鏡の周りをコーキングするなら絶対に隙間を作らないように
ライター
博士
鏡とガラスの専門家・ドクターKです。「博士」と呼ばれています。皆さんがよく巻き込まれるトラブルの原因やメカニズムを動画やコラムでわかりやすく解説します。