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耐熱ガラスってどんなガラス?徹底解説します。

2024/11/13

耐熱ガラスとは

鏡とガラスの博士
こんにちは!ドクターKです。みんなからは「博士」って呼ばれています。

電子レンジやオーブン、飲食店の焼き場の仕切りなどに使われる「耐熱ガラス」。また電子レンジ対応のポットやグラスなども耐熱ガラスでできています。

耐熱ガラスとは文字通り熱に強いガラスのことですが、「何度まで耐えられるのか」「普通のガラスとどう違うのか」「どんな用途に適しているか」などはよく知らない方も多いのではないでしょうか。

耐熱ガラスにも種類があり用途によって選び方が変わります。耐熱ガラスについて詳しくなることで選び方や安全な使い方が分かるので、ぜひこの記事を読んでこのガラスについて知ってください。

今回は、あまり詳しく知られていない「耐熱ガラスとは何か」をプロ目線でしっかり解説します。

耐熱ガラスとは?ガラスが温度変化で割れる理由

「耐熱ガラス」とは文字通り、普通のガラス(フロートガラス)よりも高い熱に耐えられるガラスのことです。

ガラスは外部からの強い衝撃だけではなく、急激な温度変化によっても割れてしまいます。これはガラスの熱い部分と冷たい部分の温度差により、内部で大きな力が発生してしまうことが原因です。

たとえば、ガラスのコップを冷蔵庫で冷やした後、取り出してすぐに熱湯を注ぐと割れてしまいます。またグラスを電子レンジで温めすぎた場合に割れてしまうこともあります。

これはガラスの熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が低いため、熱を加えた場合に外部と内部に温度差が発生してしまうことが原因です。

物は温めると体積が大きくなるため、ガラスも熱した表面部分の体積が増えていきます。しかし、熱に触れていない側は冷えたままなので、その体積は変わりません。この結果、熱した箇所とそうでない箇所で体積の違いが生まれ、その境目に逆の向きに引っ張る力(応力)が発生し、ガラスが割れてしまうのです。

耐熱ガラスはこのような温度差による応力の発生を抑え、割れないように加工されたガラスのことを言います。

耐熱ガラスと普通のガラスの違いは?

では耐熱ガラスと一般的なガラスには、どのような違いがあるのでしょうか。

その違いは熱膨張率です。

熱膨張率とは温度の上昇によって増える体積の割合を数値化したものです。この熱膨張率を小さくすることで、温度変化による体積の変化が小さくなり、境目にかかる引張応力を抑えることができます。そのため、温度変化に対して割れにくくなります。

耐熱ガラスにはこの熱膨張率を下げるために、普通のガラスにホウ素などの素材を添加しています(詳しくは後述)。

また、耐熱ガラスの中には普通の板ガラスとは見た目が異なるものもあります。種類にもよりますが、普通のガラスに比べ、少し褐色がかった色合いになっているものもあります。見た目が大事な場合は、色味がかったガラスは不適切かもしれません。



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博士が「耐熱ガラスの仕組み」を動画で解説しているよ!

耐熱ガラスと強化ガラスの違いは?

一般に、割れにくいガラスとして「強化ガラス」が挙げられますが、耐熱ガラスと強化ガラスは何が違うのでしょうか?

強化ガラスは素材(ガラス材料)は変えずに強度を高めているのに対し、耐熱ガラスは素材自体を高温でも変化しにくくすることで強くしてあるという違いがあります

しかし、強化ガラスでも急な温度変化に対しては耐えることが出来るので、家庭でのキッチン周りでは充分に代用できます。ただやはり直火が当たる場所や、事業用として使われるなら耐熱ガラスを使った方がよいでしょう

またサウナの窓など強度と耐熱性の両方が必要になるシーンでは、耐熱ガラスと強化ガラスの両方の性質を兼ね備えた「耐熱強化ガラス」というガラスもございます。対衝撃度も通常の強化ガラスよりも2倍以上あり、新幹線にも採用されているほどの安心性の高い優れもののガラスです。

徹底解説!耐熱ガラス

耐熱ガラスが温度の変化に強いことは分かっていただけたでしょうか。

では次は「耐熱ガラスは一体どれくらいの温度まで耐えることができるのか?」また、「耐熱ガラスはどのように作られるのか?」など耐熱ガラスの製造方法や、機能について見ていきます。

耐熱ガラスの製造方法

耐熱ガラスの作り方について説明していきます。

耐熱ガラスには、ホウ素などの結晶が成分として混ぜられているのが特徴です。ホウ素は熱を加えると体積が小さくなる性質を持った素材です。そのためホウ素を混ぜたガラスは、熱でガラスが膨張したとしてもホウ素が収縮するため、熱による膨張が起こりにくい仕組みになっています。

熱による温度変化が起きても外部と内部の体積差が通常のガラスに比べて起こりにくいため、境目の引っ張りあう力が発生せず割れにくくなっているということですね。

耐熱ガラスは何度まで耐えられる?直火はOKなの?

では耐熱ガラスの耐熱温度はどれくらいなのでしょうか。

耐熱ガラスの種類によって変わりますが、板状に加工されたガラスの場合、低くても500度、ものによっては800度から1200度まで耐えることができます。薪などのような暗いオレンジ色の炎の温度は500度程度ですから800度まで耐えることのできる耐熱ガラスであれば、炎が直接触れても問題はないでしょう。

しかしガスコンロのような炎の場合、炎の温度は1500度ほどにもなります。そのため、鉄板のように板ガラスを直火に当てて使うことはできません。

直接炎が当たる環境であれば暗いオレンジ色の炎であるか、かまどの覗き穴のように直火からは少し離れた環境で使うことが望ましいでしょう。

一方、直火用に作られている耐熱ガラスもあります。板ガラスではなくポットや鍋、フラスコとして加工されているガラスであれば、直火にも耐えることも可能です。熱湯用や直火用など、商品によってさまざまな特徴があるので、用途に合わせたガラスを使用することが大切です。ただし耐熱温度以下であっても、温度差が大きい場合には割れが発生する可能性もありますので、注意が必要です。

耐熱ガラスは割れるとどうなる?

熱や温度の変化に強い耐熱ガラスですが、どのような使用条件にも耐えるものではありません。あまりに急激すぎる温度変化が起こると、普通のガラスと同じように割れてしまうことがあります。

また、耐熱ガラスが割れるときは、普通のガラスと同じように割れます。強化ガラスのように割れたガラスが粉々になったり、爆発的な割れ方をすることはありません。



ネコロボ
耐熱ガラスはこうやって割れるんだね!

評価の高い耐熱ガラス

耐熱ガラスにはいくつかのメーカーや種類があり、それによって耐熱温度も違います。日本で多く使われる耐熱ガラスで評価が高いのはどのようなガラスなのでしょうか。

耐熱ガラスの代表的なメーカー

日本で代表的な耐熱ガラスメーカーは、schott(ショット)社と電気硝子建材です。

ショット社はテンパックスという耐熱ガラスを製造しています。テンパックスの耐熱温度は500度透明度が高いのが特徴です。用途としては、飲食店の厨房の仕切り用のガラス、キッチンのコンロ周りやサウナの窓、照明器具などに使われます。直火ではないが炎のそばでガラスを使用し、かつ見た目も透き通っている方がよいという方はテンパックスを選びましょう。

一方、電気硝子建材はファイアライトという耐熱ガラスを製造しています。ファイアライトは少し褐色がかった色をしています。耐熱温度は800度で、薪ストーブの窓やオーブンの覗き窓に使われています。直接火があたっても割れないくらいの耐熱強度があります。

薪ストーブのガラスに適した耐熱ガラスは?

薪ストーブの覗き窓やピザの焼き窯など、直火の近くで使うのであればファイアライトがおすすめです。テンパックスに比べて耐熱温度が高いからです。窓が割れてしまったり、汚れが落ちなくなってしまった場合、ファイアライトを購入してきて自分で交換する人もいるようです。その場合にはサイズを正しく伝えるだけでなく、金具の取り付け位置など、加工が必要な場所も事前に伝えるようにしましょう。

すすなどでガラスが汚れてしまった場合には、火が消えてガラスが冷えたのを確認してから濡らした新聞紙などを使って掃除しましょう。ガラスがまだ熱いうちに拭いてしまうと、温度差によって割れが発生することがあります。またクレンザーなどを使用すると、表面に生じた微細な傷から割れることもあるのでおすすめできません。

飲食店の間仕切りに適した耐熱ガラスは?

焼鳥屋やたこ焼き屋など、焼いている様子をショーウィンドウで見せるならばテンパックスがおすすめです。テンパックスはファイアライトに比べて透明度が高く、普通のガラスと比較しても遜色のない色合いが特長です。また歪みの少ない美しい見た目をしていますので、店舗のような装飾性の高いシーンで、工務店のプロからも選ばれています。

予想外のニーズ!各種研究機関でのご利用

耐熱ガラスの利用は住宅や店舗だけに留まりません。研究機関など特殊な用途でも広く使われています。

研究機関でも使われる耐熱ガラス

例えば研究のため、炉の内部や燃焼室の観察するためにも耐熱ガラスは使用されます。またガラスが酸やアルカリに強いという化学的性質を持っているため、顕微鏡用のスライドガラスなどにも使われています。少し変わったところでは、DNA泳動プレートというDNAを調べる際に使う装置にも耐熱ガラスが利用されています。

防災に使われる耐熱ガラス

今、耐熱ガラスの用途として注目が集まっているのが、防災・減災を目的とした防火ガラスです。防火扉や防火ガラスは、火災が起きた際、炎が広がっていくことを防ぐことで火災の被害を最小限に抑えることができます。

一般的なガラスの場合、炎にさらされると割れてしまい、そこから火が広がってしまいます。しかし耐熱ガラスであれば割れずに耐えることができるため、防火装置として機能することができるのです。景観の美しさや視界の広がりが求められるショッピングセンターや公共施設に使われています。

まとめ

耐熱ガラスは熱を加えてもほとんど膨張しないという性質をもっています。そのため温度の変化に強く、熱を加えても割れにくいのが特徴です。薪ストーブの窓や、焼鳥店のように直火を扱うショーウィンドウなどに使われています。

メーカーや種類によって耐熱温度などが変わりますので、目的に合わせた耐熱ガラスを選ぶことが大切になります。



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耐熱ガラスの特徴


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博士が「耐熱ガラスの仕組み」を動画でわかりやすく解説しているよ!ぜひ見てね!

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